この話では、不動産投資において「最初に購入する物件の選択が人生を大きく左右する」とする考えに基づき、どのような不動産を買うべきかについて具体的な方針が述べられている。
主張の中心は「都内の中古一棟もの(特にRC造のビル)」こそが最適な投資先であり、それ以外の選択肢は多くのリスクを伴うという点である。
日本全体では人口が減少しているが、東京はブランド力があり、外国人を含めた人口流入が続く可能性が高いため、不動産価値が維持されやすい。
中でも、東京の中心部のようにビルが立ち並ぶ「異常」とも言える地域では資産価値が下がりにくく、需要も安定しているとされる。
これにより、他の都市部(名古屋や大阪など)よりも東京が優先される。
分譲マンションが勧められない理由としては、共有部分が多く、管理や修繕の自由度が低いため、経費のコントロールが難しく、手取りの利回りが低下する点が挙げられている。
新築よりも中古が望ましい理由は、新築には「プレミアム価格」が乗っており購入直後から価値が下落しやすいためであり、築年数が進んだ中古物件は価格が下げ止まっているケースが多く、将来予測が立てやすいという。
中でも理想的なのは「築20年程度のRC造ビル」で、これは価値の下落が比較的安定しており、家賃収入が見込めるためだが、こうした物件は市場にほとんど出回らず、出ても数時間で売れてしまうほど人気が高い。
内見ができる前に売れてしまうケースもあるという。
日本の不動産市場はキャピタルゲイン(値上がり益)を狙うには不安定であり、ロンドンのように資産価値が数百年にわたって安定して上昇する都市とは異なる。
そのため、日本では価格が下落しても安定して家賃収入を得られる「利回り重視」の投資戦略が基本になるという。
特に、立地や物件の性質によって空室リスクが低く、将来的にも賃貸需要が見込める物件を選ぶべきとされる。
物件選定において特別な専門知識は不要で、「自分自身の感覚」を信じることが重要とされる。
原宿駅徒歩1分の築古物件なら入居者が見込めるが、板橋区の駅から遠い築浅物件は魅力が薄くなるといった、直感的な判断でよいとされている。
また、注意すべきは「見かけの利回り」が高くても実際には空室リスクが高く、入居者がつかない「架空の想定家賃」で組まれた物件が存在する点である。
こうした物件では管理が大変であり、出口戦略(売却)にも苦労する。
過去に埼玉で利回り20%という条件の物件があったが、実際には想定賃料での入居は見込めず、現実的ではなかったという事例が紹介されている。
結論として、日本での不動産投資は「計算上ではなく実質的に利回りが確保できる」物件を選ぶことが成功の鍵であり、そのためには立地、築年数、構造、そして将来的な賃貸需要を総合的に見極める必要がある。
最終的には「家賃が安定的に入ること」と「売却がしやすいこと」を両立できる物件こそが理想とされている。