資産形成に関心を持つ人々が増えている一方で、実際に行動に移せている人はまだ多くなく、貯金が主な手段として選ばれているのが現状である。
政府は非課税制度（例：NISAやiDeCo）を推奨しているが、制度の仕組みや実際の運用方法についての周知が不十分であり、投資未経験者にはハードルが高いと感じられている。
加えて、金融業界関係者や学生からは「投資の始め方がわからない」「どのくらいの資金から始めればよいのか」「具体的な年齢や金額の目安が不明」といった声が挙がっており、SNS上にも「選択肢が多すぎて選べない」「FXやEA（自動売買）の学び方がわからない」といった初心者特有の不安や疑問が多く見られる。
また、投資経験者の間でも、「個別株はリスクが高いのでは」「利確のタイミングが難しい」「インデックス投資と個別株投資の違いがわからない」といった悩みが継続的に存在している。
特に高齢者層からは、退職金などまとまった資金を使って今から投資を始めることへのリスクを懸念する声もあり、老後の生活を見据えた上での資産運用の方法に不安が残っている。
専門家は、投資は基本的に「やるべき」だとし、特にインフレ環境下では預貯金だけでは資産が目減りする可能性があることから、少額でも投資に踏み出すことを推奨している。
ただし、投資を始める前提として「生活防衛資金」の確保が重要であり、会社員であれば半年分、フリーランスであれば1年分の生活費相当の貯金が安心材料になると述べている。
投資の開始時期や金額については、「まとまった資金がなくても、100円や1,000円などの少額から始められる積立型の投資信託が有効」であり、特に初心者には「投資先が分散されていて手軽に始められる」という理由から投資信託が適しているとされる。
さらに、日経平均株価などの指標に連動したインデックス商品についても触れられており、これらは値動きのタイミングを正確に読むことは誰にとっても困難であることから、定期的に積立てることで平均購入単価を平準化させる「ドルコスト平均法」が有効であるとされる。
総じて、投資に対する関心は高まっているが、制度や商品への理解不足、リスクへの不安、情報の多さゆえの選択困難が参入障壁となっており、それらを解消するためには「やり方の可視化」「少額で始められる商品への理解促進」「投資信託など分散型商品の推奨」「生活防衛資金の確保」など、段階的なアプローチが求められている。
