この文章は、「楽待」主催の「大家さんデビュープログラム」で2300人の応募者から選ばれた参加者が、初めての物件見学に挑む様子を描いた記録である。
参加者は、物件選びや内見に対してまだ不慣れで、資料請求や問い合わせには徐々に慣れてきたものの、現地で見るべきポイントが多すぎて混乱していると述べている。
今回の物件見学では、不動産投資家でありプログラムの審査員でもある中島氏がアドバイザーとして同行し、さらに一級建築士やリフォーム業者も同席して専門的な視点からサポートしている。
見学時には、マイソク(物件資料)、メジャー、バインダー、ピックツール、ビデオカメラ、スマートフォンなどを用意し、物件の詳細を記録・確認していく体制が整えられている。
対象物件は築42年で、旧耐震基準の戸建住宅。
価格は378万円と安価だが、古さゆえの構造的な問題や将来の収益性の見通しが重要な検討事項となる。
中島氏は、戸建物件の特徴として購入価格が安く始めやすい一方で、需要の面でマイホーム購入層との競合が生じやすいことや、耐震性の問題点を指摘した。
室内チェックでは、まず参加者が一人で物件内を確認するが、プロから見ると見逃している箇所も多く見受けられた。
たとえば、換気扇やレンジフードの有無、排水トラップの適正な設置、水回りの傷みやクロスの状態など、投資判断に直結する重要な点が十分にチェックされていなかった。
また、床の傾きが7〜8センチもあることが測定され、単なる補修では済まない可能性があることも分かった。
傾きが大きい場合、室内の補修だけでなく構造レベルでの補正が必要となり、投資リスクは高まる。
加えて、浴室が外鍵付きの仕様になっているなど、居住者目線で不自然・不快に感じる点も確認された。
仮に浴室をユニットバスに交換する場合、費用は18万円以上を見積もる必要があるとされる。
総じて、本企画では「初心者が実際の物件をどう見るべきか」を、経験者の視点から具体的に学ぶことが主目的とされている。
物件の見方には定石があり、表面的な見た目だけでなく、構造的な安全性や設備の状態、将来的な修繕コスト、そして収支シミュレーションの必要性まで、実践的かつ多角的に判断すべきであることが強調されている。