規制の背景と概要
2026年1月、政治家の「国保逃れ」スキーム利用が発覚したことを発端とし、国が本格的な規制に乗り出しました。2026年3月18日、厚生労働省は全国の健康保険組合に対し、個人事業主やフリーランスをターゲットとした「社会保険料削減ビジネス」を違法行為として厳しく取り締まるよう通知を出しました。
2. 社会保険料削減スキームのカラクリ
個人事業主は本来、収入や扶養人数に応じて高額になりがちな「国民健康保険」に加入する義務があります。この負担を逃れるため、以下のような手口が横行していました。
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一般社団法人などに高額な年会費(例:120万円)を支払う。
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その法人の「名ばかり役員(理事)」に就任し、最低限の役員報酬(例:月5万円)を受け取る。
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役員であることを理由に、合法的に安価な「社会保険」に加入し、国民健康保険から脱退する。
3. 厚労省通知の厳しい中身 厚労省は今回の通知で、以下のようなケースは「実態として役員ではない」と明言し、社会保険の加入資格を認めない方針を打ち出しました。
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支払う会費が、受け取る役員報酬を上回っている。
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役員の業務実態が、アンケート回答、勉強会参加、単なる活動報告などに留まっている。
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法人内で指揮監督する従業員がおらず、業務の決裁権を持たない。
4. 違反者への重いペナルティ この基準に抵触し「名ばかり役員」と判定された場合、単に社会保険を抜けさせられるだけではありません。
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過去への遡及: 過去(実務上は2年分)に遡って社会保険の資格が取り消され、その期間の国民健康保険料(数百万円規模)の一括納付が求められます。
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二重の損失: 法人に支払った高額な年会費は返還されない可能性が高く、過去に受診した医療費の再精算など、金銭的・事務的に極めて重い負担(お金と手間のダブルパンチ)が発生します。
5. 今後の見通し:マイクロ法人や経営者への影響
今回の通知では直接触れられていませんが、個人で会社を設立する「マイクロ法人」や、既存の経営者が役員報酬を極端に低く設定し(例:月6万円)、賞与でまとめて受け取ることで社会保険料を圧縮するスキームについても、今後は「最低賃金との乖離」などを理由に規制のターゲットになる可能性が高いと指摘されています。
目次
普通の会社員+フリーランスで国保を合法的に避ける
「国保逃れ」という言葉を使うとグレーな裏技のように聞こえますが、実態としては「会社員(パート・アルバイト含む)を本業とし、フリーランスを副業とする」という働き方であり、現在の日本の社会保険制度のルールに完全に則った正当な方法です。
なぜこの方法が合法で、かつメリットが大きいのか、客観的な事実に基づき解説します。
1. フリーランス収入に社会保険料がかからない理由
会社の社会保険(健康保険・厚生年金)に加入した場合、毎月の社会保険料は「雇用先の会社から受け取る給与額」のみをベースに計算されます。
つまり、雇用先で社会保険の加入条件ギリギリ(例えば月給9万円程度)で働いていれば、保険料はその「月給9万円」に対してのみ発生します。
残りの時間でフリーランスとして月に100万円稼ごうが1,000万円稼ごうが、社会保険料には1円も上乗せされません。(※所得税や住民税などの「税金」は、給与とフリーランス収入の合計に対してしっかりかかりますのでご注意ください)
2. 「名ばかり役員スキーム」との決定的な違い
動画で違法とされたスキームがNGだった最大の理由は、「労働の実態がない(偽装である)」という点です。
一方で、ご提案の方法は「実際に企業で労働者として雇用される」わけですから、タイムカードなどで労働時間が管理され、雇用主の指揮命令のもとで実際に業務を行っているという「明確な労働の実態」があります。実態が伴っている以上、国や年金事務所から違法性を問われることはありません。
3. このスキームを成功させるための注意点
この合法スキームを実践するにあたっては、以下の3つの条件をクリアする必要があります。
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社会保険の加入条件を確実に満たすこと パートやアルバイトとして加入する場合、一般的に「週の所定労働時間が20時間以上」「月額賃金が8.8万円以上」「2ヶ月以上の雇用見込みがある」などの要件(いわゆる社会保険の適用拡大要件)を満たす必要があります。
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勤務先が「社会保険の適用事業所」であること 従業員数が一定規模以上の企業であるか、または任意適用を受けている企業で働く必要があります。
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勤務先が「副業OK」であること 法律上は問題なくても、雇用先の就業規則で副業が禁止されている場合、会社との間でトラブル(最悪の場合は懲戒解雇など)になるリスクがあります。
このように、実態のある雇用契約を結び、条件を満たして社会保険に加入することは、国も推進している多様な働き方の一つであり、非常に賢い選択と言えます。