この動画では、「なぜ会社を作ると節税になるのか」「どのタイミングで法人化すべきか」について、個人事業主から法人化を検討している人に向けて、税制上の観点から分かりやすく解説している。
まず、法人化の最大のメリットは節税の幅が大きく広がることであると強調されている。
税金は「課税所得」に応じて決まるため、売上が多くても経費が多ければ課税所得は下がり、結果として納税額も減る。
個人でも経費は使えるが、法人の方が使える経費の幅や制度が圧倒的に広い。
具体的に挙げられている節税手段は以下の通り:
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出張旅費日当制度では、自社の社員(自分自身を含む)に対して日当を支給することができ、この日当は法人側では全額経費となり、受け取る個人側では非課税所得として扱われる。この仕組みにより、法人にとっても個人にとっても税制上非常に有利な扱いとなる。
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社宅制度では、法人が従業員の住居(社宅)を借り上げ、家賃の8~9割を経費計上できる場合が多い。個人で家賃を支払うよりも、法人が借り上げて経費化することで、実質的な生活費の軽減が可能になる。
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退職金制度を活用することで、法人から自分に対して退職金を支給できる。退職金には特別な控除があり、長期的に働いた場合は非常に税率が低く、課税が優遇される。さらには条件次第で複数回の受給も可能とされており、将来の資金計画にとって有利に働く。
また、法人化することで税率そのものも有利になる。
日本では所得が高くなるほど税率が上がる「累進課税制度」があるため、個人で得た利益に対する最高税率(所得税+住民税)は約55%であるのに対し、法人税の最高税率は約34%にとどまる。
そのため、例えば1億円の利益が出た場合、個人と法人での課税額には2,000万円以上の差が出ることもある。
さらに、法人とその代表者(社長)は税務上は別人格とみなされるため、法人に利益を残しつつ、自分自身は法人から給与として収入を得るなど、所得を分散させることで全体の税率を抑えることが可能になる。
これにより、例えば2000万円の利益を法人と社長にそれぞれ1000万円ずつ分けた場合、全体としてかかる税率は下がる可能性が高い。
もちろんこれはあくまで理論的な説明であり、実際の計算方法や条件はもっと複雑である。
法人化の最適なタイミングについては、「これで食べていく」と腹をくくった時が一つの目安とされており、本格的に事業を継続していく決意を固めた時点で検討すべきだとされる。
また節税以外にも、法人化により社会的信用度が増すというメリットもある。
取引や金融機関との関係において、個人名よりも法人名の方が信頼されやすく、仕事の幅が広がる可能性がある。
最後に、これらの制度は元々制度を作った側の人間たちが自分たちに都合の良いように作っているという面もあり、上手に利用するかどうかは自己選択である、というメッセージで締めくくられている。
制度を知らずに不満だけを言って過ごすのか、それとも制度を理解し、合法的に最大限活用していくかは自分次第だという姿勢が貫かれている。