本内容は、配当控除制度を通じて配当金にかかる税金の負担を減らし、最終的な手取り額を最大化する方法について、具体的かつ丁寧に解説している。
特に所得が比較的低い層にとっては有効な節税策であり、老後の生活資金やサイドFIRE(経済的自立と一部労働を両立させるライフスタイル)を目指す人にも役立つ情報となっている。
冒頭では、配当金が「究極の不労所得」である一方で、受け取る際に課税される点がデメリットであると指摘される。
日本株では約20%(所得税15%+住民税5%)、米国株では約28%の税金が配当金から自動的に差し引かれるため、高配当株で得た配当金もそのまま全額を受け取れるわけではない。
たとえば3,000万円分の高配当株(利回り4%)を保有して年間120万円の配当を得ても、税引後の手取りは96万円にまで減少する。
そこで紹介されるのが「配当控除」という制度である。
これは一定の条件下で確定申告を行うことによって、配当金にかかった所得税(最大15%)の一部または全部を取り戻せる仕組みである。
条件に該当すれば、最終的に配当金にかかる税率が5%(住民税のみ)になることも可能である。つまり、配当金の95%を手取りで受け取れる計算になる。
この制度の利用には「総合課税」による確定申告が必要であり、配当金に対する課税方法としては以下の3つが存在する:
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確定申告不要(源泉徴収で完結)
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申告分離課税
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総合課税
このうち配当控除を利用できるのは3番目の総合課税のみであり、他の所得と配当所得を合算して累進課税を適用する。
この方式を選ぶと、「配当控除」により配当金の10%(上限あり)が税額から差し引かれ、結果として節税になるケースがある。
たとえば、他の所得がなく年間30万円の配当金を得た場合、本来は5%(1.5万円)の税負担となるが、配当控除(3万円)によって税額はゼロとなり、源泉徴収で既に差し引かれていた15%(4.5万円)が還付される。つまり税金ゼロで配当金を全額近く手元に残せるというわけである。
さらに、年収ごとの税制上のメリットについても具体的に示されている:
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所得330万円以下:税率0%、15%の節税
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所得330万〜695万円:税率10%、5%の節税
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所得695万〜900万円:税率13%、2%の節税
したがって、年間所得が900万円以下の人にとっては、配当控除を使った総合課税の方が有利となる。
住民税に関しては別途申告が必要だが、あえて申告しない(申告不要制度を活用する)ことで、5%の住民税のみ課され、所得税は全額還付される形となる。
この方法は令和3年分以降、確定申告書のチェック欄にマルを付けるだけで済むなど手続きも簡素化されている。
その後は、配当控除を活用した「サイドFIRE(ミニマム型)」の実践方法に言及している。
数千円〜数万円の還付のために複雑な手続きを面倒に思う人もいるが、こうした税金コントロールを学ぶことで、少ない資産でも自由度の高い生活が実現できる可能性があることを訴える。
具体的なモデルケースとしては3,000万円の資産を元手とした運用も登場するが、ここでは詳細は省略されている。
まとめとして、配当控除を適切に利用することで、配当金の手取り額を最大化でき、特に所得が900万円以下の人にとっては極めて有利な制度であること、また住民税の取り扱いにも注意することで、最終的な税負担を5%にまで抑えられる点が強調されている。
税金は複雑だが、正しく制度を理解し活用すれば、生活の質や老後の安心につながる大きなメリットが得られる。