税理士の河合さんが、借入れをして土地建物を購入した際に、利益が出てもお金が回らない理由について解説しています。
前提となる会計のルール:
- 建物:減価償却費として、耐用年数に応じて分割で経費になる(例:40年なら年100万円)。
- 土地:返済しても経費にならない。
- 借入金:元本部分は経費にならないが、利息は経費になる。
- 土地は減価償却できない。
具体例:
- 土地:4000万円
- 建物:4000万円
- 借入金:8000万円
- 返済期間:20年(年間返済額400万円)
- 建物の耐用年数:40年(年間減価償却費100万円)
- 年間利益:1000万円(仮定)
- 法人税率:3割(仮定)
最初の20年間(借入金返済期間):
- 利益:1000万円
- 法人税:300万円
- 返済額:400万円
- 減価償却費(キャッシュフロー上プラス):100万円
- キャッシュフロー:1000万円 - 300万円 - 400万円 + 100万円 = 400万円のマイナス
つまり、利益が出ているにもかかわらず、返済額が大きいため、手元のお金は減ってしまう。
次の20年間(借入金返済完了後):
- 利益:1000万円
- 法人税:300万円
- 返済額:0円
- 減価償却費(キャッシュフロー上プラス):100万円
- キャッシュフロー:1000万円 - 300万円 + 100万円 = 800万円のプラス
借入金の返済が終わると、減価償却費がキャッシュフローを押し上げ、お金が残るようになる(ドル箱)。
結論と注意点:
- 借入れをすると、最初の期間はキャッシュフローが厳しくなりやすい。
- 税金のせいだと思いがちだが、返済額の大きさが原因であることが多い。
- 銀行は融資したいので、資金繰りが悪くなる可能性を説明しないことがある。
- 着実に返済しきれば、長期的にはメリットがある(ドル箱になる)。
- 中古物件など、建物の耐用年数が短い場合は、減価償却費が大きくなり、キャッシュフローの状況が変わる可能性がある。
- 不動産購入は慎重に検討すべき。
利益が出てもお金が回らないと感じている経営者や、これから不動産購入を考えている人は、この点を理解しておくように促しています。