この内容は、現在の急激な円安の進行が日本経済や個人の資産運用、物販ビジネスに与える影響について、Amazon輸出という具体的な例を通じて語られた対談の記録である。
現在、日本では1ドル=161円台という異常な円安が進行しており、これはおよそ37年ぶりの水準である。
バブル期以降の日本の経済停滞と比較すると、かつて不動産価値や個人資産が爆発的に上昇していた時代とは対照的に、今は物価の上昇に対して給料や資産価値の実質的な増加が伴わない「実質的な貧困化」が進んでいる。
その中で、投資信託や新NISAによる資産運用が流行しているものの、その資産価値の増加は「円安によって円換算で見た時に増えているように見える」だけであり、実際にはドル建てで見た場合にそれほど価値が増えているわけではない。
円安の影響によって、海外の株式を購入する際のコストも上がり、ドル転(円をドルに換えること)に不利な状況が続いている。
その一方で、物販においては円安がむしろ追い風となっており、とりわけAmazonを活用した越境EC(海外輸出)では、同じ商品を同じ価格で販売していても、為替の変動により得られる円換算の利益が増える構造になっている。
たとえば、1ドル100円の時代に100ドルで売れていた商品は1万円だったが、1ドル160円になると1万6000円となり、仕入れ値が変わらなくても利益が増える。
つまり、円安の進行は日本国内にいる人間にとって「ドルを稼ぐチャンス」を広げている。
加えて、政府による円高誘導(為替介入)は効果が薄く、海外の機関投資家や巨大企業が持つ資金力が日本政府を上回っているため、円安の流れは変えがたい現実となっている。
つまり、為替相場という構造的に不利なゲームの中に日本が巻き込まれているという見解である。
こうした背景のもとで、日本国内での商売や資産形成は今後ますます厳しくなる可能性が高く、むしろドル圏、特にアメリカに向けたビジネスや輸出が生き残る手段として有効だという提言がなされている。
現在、観光業などで外国人が日本にお金を落とす動きもあるが、ホテルや不動産などの所有者が外資系企業であることも多く、「日本国内に本当の意味でお金が還元されているか」という点には疑問が残る。
総じて、円安は日本人の購買力や投資環境にネガティブな影響を与えつつも、輸出や外貨獲得には大きなチャンスとなっており、今後は国内市場だけに依存するのではなく、積極的に外貨を得る手段を持つべきだという視点が一貫して語られている。
編集部より
円安によってダメージを受ける人もいれば、恩恵を受ける人もいる。Amazon輸出は円安によって恩恵を受ける側だ。もちろん円高になればダメージを受ける。為替は振り子のように揺れ動き、寡黙な値動きを見せる。そんな中で我々個人ができることは、為替がどうなろうとも対応できるように準備しておくことだ。円安のリスクヘッジとして、海外の株を購入する、FXでドルを持っておくというのも具体的な対策となる。しかし、そこから得られるリターンはそこまで多くないし、むしろ減る可能性もある。そう考えると、Amazon輸出のようにビジネスで外貨が稼ぐことができるのは大きな強みとなる。海外資産を持つだけでなく、海外向けビジネスを展開することも、これからの経営者に求められるビジネスセンスではないだろうか。