Amazon輸出を検討している事業者向けに、理想と現実のギャップ、特に直面する課題について解説されています。
国内物販経験者やAmazon販売の経験者にも有益な情報を提供することを目的としています。
目次
Amazon輸出の魅力と市場規模
まず、日本のAmazon市場の年間売上が約3.6兆円(1ドル141円計算)であるのに対し、アメリカのAmazon市場は81兆円と、20倍以上の規模であることが強調されています。
この巨大な市場規模は、輸出を検討する事業者にとって非常に魅力的に映る点です。
また、現在の円安も輸出の利益を大きくする要因として挙げられています。
eBayと比較してもアメリカAmazonの売上は圧倒的に大きく、この巨大なマーケットでの販売機会は非常に大きいという認識が示されています。
Amazon輸出における5つの現実と課題
しかし、輸出には理想だけでなく、避けて通れない現実的な課題が5つ挙げられています。
返品率の高さ
アメリカのAmazonにおける返品率は日本のAmazonに比べて非常に高いことが指摘されています。
国内Amazonの返品率が約1%であるのに対し、アメリカでは数ヶ月の販売で3%を記録しており、さらに調べると10%程度に達することもあるとのことです。
返品された商品の処理(日本への返送にかかる高額な送料、現地での廃棄、代行業者による検品・再納品・他販路での販売など)に追加コストが発生するため、事前の対策が重要です。
日本製品が必ずしも売れるわけではない
「日本っぽいものが売れる」という理想とは裏腹に、日本独自の伝統的な商品や一般的な商品が、アメリカのAmazonでは必ずしも大量に売れるわけではない現実が示されています。
日本の人気商品(おもちゃやゲーム機など)はライバルが増えやすく、結局国内と同じように価格競争に陥る可能性があるため、差別化戦略が非常に重要です。
業務委託による完全自動化は困難
納品や出荷作業を外部に委託しても、完全に自動化して手間が一切なくなるわけではないと説明されています。
委託者側のミスや、委託先のミスが発生する可能性があり、その確認作業や指示出しが必要となるためです。
この課題に対しては、業務の責任分担を明確にし、極力少ない人数で広範囲の業務を任せることで、ミスを減らし効率化を図ることが対策として挙げられています。
資金繰りの厳しさ
「利益が大きく出てもクレジットカードの支払いが間に合わない」という事態が起こり得ると警告されています。
AmazonのFBA(フルフィルメント by Amazon)を利用した場合、商品の仕入れから販売、Amazonからの入金、そしてPayoneerなどの海外口座を経由して日本口座への送金まで、最短で38日程度の期間が必要です。
一方、クレジットカードの支払いサイトは最大でも55日程度であり、購入タイミングによっては支払期日までに売上金が回収できない可能性があります。
このため、自己発送への切り替え、融資による資金確保、支払いサイトの長いクレジットカードの活用、人気商品に絞った販売など、綿密な資金繰り計画と対策が不可欠です。
最初の2ヶ月間は入金がない期間が発生
Amazonアカウントの開設や国際郵便システム(UGXなど)の利用開始までには、通常1ヶ月から1.5ヶ月程度の時間がかかるため、販売開始から最初の2ヶ月間は売上や入金が全くない期間が発生する可能性が指摘されています。
この期間は、出品規制の解除、商品のリサーチ、競合分析など、売上につながる準備期間として有効活用することが推奨されています。
まとめ
これらの現実的な課題を事前に理解し、対策を講じることがAmazon輸出で成功するための重要なポイントと締めくくられています。
理想だけでなく現実を直視し、計画的に取り組むことの重要性が強調されており、国内物販だけでなく多角的な事業展開を検討する事業者への相乗効果にも触れられています。
編集部より
アメリカAmazonの市場規模は大きいが、海外に発送する商品の選択肢は日本国内の仕入れ先に依存してしまう。中国から直接アメリカのFBAに送るという手法もあるが、やはり価格勝負になると不利になってしまう。卸サイトなどを使えば仕入れ先を急速に拡大することができる一方で、選択肢が多すぎて逆に迷子になってしまうということもある。インターネットのような商圏が無限のマーケットでの販売戦略は、とにかくジャンルを絞ることだ。なんでもかんでも仕入れて、商品ジャンルを広げてしまうと特徴の無いお店になってしまい誰も来なくなる。Amazonのカタログ販売というシステムによって、成立する販売スタイルだがAmazonに依存しているとも言える。加えて、年々Amazonのルールが厳しくなっており、特に初心者の参入が厳しくなってきている。市場が成熟してしまったということだ。話は変わるが、Amazonのようなプラットフォームに頼るのではなく、自社でECサイトを立ち上げて販売するという手法もぜひ取り入れていただきたい。「集客ができない」という意見もあるだろうが、そんなことはどうでもいい。とにかく商品ジャンルを絞って地道に運営を積み重ねていく。このようにして確たる地位を築いているサイトは数は少ないがコアなファンがおりリピート購入率も高い。