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会社に利益を残すべきか。なるべくたくさん報酬を受け取るべきか。

この動画では、中小企業経営における役員報酬の適切な取り方とその税務的影響について、実務家の税理士が丁寧に解説している。

特に、法人利益と役員報酬のバランス、そして税率の観点からの最適化について詳述されている。

冒頭では、事業承継の際に資金を会社に残しすぎたことによるトラブルが語られ、それをきっかけに「役員報酬を多く取った方がいいのか」「会社に資金を残すべきか」という問いが提示される。

 

一般的な意見として、「所得が900万円を超えると税率が急激に上がるため、役員報酬を900万円以内に抑えた方がいい」という考え方があるが、これは一面的な見方にすぎないと強調されている。

というのも、税率は累進課税であり、たとえば所得が1,000万円でも、900万円を超える100万円の部分にのみ高い税率(43%)が適用される

これは法人税にも言えることで、法人利益が800万円を超えた部分のみ税率が33%に上がる仕組みであり、一律に全額に対して高税率がかかるわけではない。

また、所得と給与は同一ではなく、給与から各種控除(給与所得控除、社会保険料控除、基礎控除など)を差し引いたものが「所得」である

たとえば、年収1,280万円程度の人は、諸控除後に所得が約900万円となる。

このラインがしばしば「節税のボーダーライン」とされる所以である。

 

しかし、税率だけで役員報酬額を決めるのは短絡的であり、長期的な視点で考えると、会社に資金を残しすぎることが後の事業承継時などに問題を引き起こす可能性がある

というのも、法人に資産が積み上がると、将来的にその資産にかかる税金や承継税などの負担が大きくなるからである。

そのため、登場する税理士は、自身の考えとしては「43%の税率であっても、取れるだけ役員報酬として取った方が良い」と述べている。

たとえば、会社の利益が4,300万円あるとしたら、900万円ラインを意識して1,300万円のみを報酬として取り、残りを法人に留めるよりも、3,500万円を報酬として取り、法人には800万円だけ残すという選択の方が合理的だと考える。

このようにすることで、資産が法人に集中しすぎず、将来のリスクを分散できるとする。

結論としては、税率だけにとらわれず、将来的な税負担や事業承継の観点を踏まえ、バランスよく役員報酬を設定することが重要であるという主張がなされている。

特に利益が大きく出ている場合には、「900万円以内に抑える」という定型的な節税思考に縛られず、「法人に資金を溜めすぎない」という経営判断が求められる

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