英語のスピーキング力を伸ばすためには、文法の学習やリスニングだけでは不十分であり、「実際に話す」練習が不可欠である。
しかし、話す相手がいない場合でも効果的な練習法が存在し、それが「イミテーション(模倣)」という方法である。
このイミテーションは、ただ単にネイティブの発音をそっくり真似るものではなく、より高度な方法である。
英語の会話やスピーチなどを聞いた後に、その内容を自分の言葉で再表現することで、語彙力や文法力に加えて、自分の考えを英語で効果的に伝える力も養うことができる。
この練習にはいくつかのバリエーションがあり、例えば短いフレーズを文法構造ごとに言い換える方法、あるいはスピーチ全体を聞いた後で要約的に再構成して話す方法などがある。
これらの方法は単体で行うよりも、段階的に組み合わせて取り入れるのが効果的である。
たとえば、最初は短い文から始め、徐々に長い文や複数の文をまとめて模倣し、最終的には自分自身の言葉でスピーチ全体を再構成できるようにしていく。
この段階的な練習法は「イージー・to・ハード・イミテーション」と呼ばれており、実験でもその効果が証明されている。
この学習法には多くの利点がある。
まず、正しい英語の文構造に慣れ、自然な表現や会話パターン、熟語に触れることができる。
加えて、ネイティブスピーカーの話し方を模倣することにより、文法を意識的に分析しなくても無意識のうちに正しい言い回しや文法が身につく、いわゆる「暗黙的学習」が可能となる。
これは、子どもが母語を身につける過程と同じである。
模倣の際には文法の細かな構造や用法にこだわりすぎず、話者の意図や伝えたい内容を理解し、それを再現するというコミュニケーションの本質に集中することが重要である。
その結果として、自然に文法力も向上していく。
最後に、このイミテーション学習法を始めたい人のために、段階的なチュートリアルが用意されており、リンク先からアクセスできることが案内されている。