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書籍レビュー「ひとり社長の賢い節税」元国税が実践している手元にお金を残す方法。節税の目的を見失ってはいけない。

今回はまたもや書籍レビューです。最近暇な時間はもっぱら本を読むようになったので、これからこのブログにも書籍レビューに関する投稿が増えると思います。基本的には全て読み終わった段階で記事を更新するので、部分的な切り抜きにはならないと思います。

今回レビューする書籍は「ひとり社長の賢い節税」という書籍です。"レビュー"とありますが、優劣をつけるわけではない点にご留意ください。書籍に優劣をつけることはできません。必要な人にとってはお宝になり得ます。

この本が最も伝えたいメッセージは、「個人事業主は法人を作りたまえ」ということだと思います。法人を作ることによって、経費の幅が広がり、課税所得を下げ節税するというのがこの本の趣旨です。

このメッセージを補完する具体的なテクニックが細かく解説されています。

気をしっかり保たないと、勢いだけで法人を作ってしまいそうになる、そんな誘惑が多い書籍です。法人を作ることによる金銭的メリットは確かに大きいでしょうし、個人事業よりも法人の方が信頼という面でもメリットがあります。

まだ、個人事業主で頑張っていて法人化を検討している人だけではなく、すでに法人を設立しており節税策を模索している人にとって新たな発見がある内容でしょう。

そして、法人を作ることによってなぜ節税になるのか、テクニックではなく、資本主義の仕組みの観点から構造的にその理由が解説されており、法人を作ることのメリットが納得できる内容でした。

注目すべきは、この本の著者である杉田健吾さんが元国税職員であるという点です。税務調査の対策や、職員が仕掛けてくる罠など、元国税ならではの裏話もあって結構面白いです。

今回は紹介しないので、本を購入するか、本屋で立ち読みしてください。

法人を作ると使える経費が増える

なぜ個人事業主よりも、法人を作ることが推奨されるのか。

それは「使える経費の幅が増えるから」この一点に尽きます。

個人事業主の場合には、プライベートと仕事が混在しているため、家事按分という考え方がつきまといます。これによって、何も考えずにレシートを経費にしてしまうことが難しくなるのです。

例えば、家賃を経費にしたい場合には、使用面積に応じた割合を算出して、何%を経費とするのかを客観的に証明しなければなりません。

仕事で車両を使う場合には、ガソリン代をどのくらい経費とするのかも同様に証拠が必要になります。

経費にするために、余計な手間がひとつ増えることになるのです。これは、プライベートとの混在によって業務がややこしくなっているというであり、個人事業主であることのデメリットでもあります。

このような家事按分の考え方は法人では必要ありません。個人の生活と会社の経費は完全に切り分けられるため、仕事に関連する費用であれば100%経費にすることができるのです。

旅費交通費で手元に残るお金を増やす

法人ならではの節税策といえば出張規定があります。この方法は、ありとあらゆる法人の節税策で解説されているので、ご存知の方も多いでしょう。

出張に関わるルールを定めることで、従業員に旅費交通費として出張日当を支払うことができるようになります。この支払いには税金がかからないため、使わなかった分については、従業員の無税の収入ということになります。

ひとり社長の会社であれば、出張を決めるのも受け取るのも社長ひとりしかいないので、無税の収入をいくらでも増やすことができるというものです。

もちろん、仕事に関わる出張でなければなりませんし、距離も定められているため、何でもかんでも出張規定に該当するわけではありません。ですが、宿泊を伴うような出張である必要ないので、応用しやすい節税策であるといえます。

節税の目的は、税金の支払いを減らすことではなく、手元のお金を増やすことです。この出張規定を作ることで、手元に残るお金を増やすことができます。

そして、この出張日当は全額が会社の経費となるため、課税所得を減らすことにもつながります。課税所得を減らしつつ、個人の所得を増やすという、まさに賢い節税といえます。

書籍の中では、複数の法人を作ってさらに節税するという上級テクニックも紹介されています。

 

仕事に関係していることを証明するための理由づくり

会社の経費として認められるためには、仕事に関係しているものでなければなりません。個人の趣味の支出は当然ながら経費にはなりません。

しかしながら、どうやったら仕事に関係させられるのか、というアンテナを常に張っておくことで、一見すると無関係に思える支出も経費にできる可能性があります。

ゲームが好きで毎日ゲームをする人にとって、ゲームソフトの購入代金は経費にはなりませんが、ゲーム実況を仕事にしている人にとってはそのお金は経費になります。

書籍の中では、どうやったら仕事に関係させる経費にできるのかという考え方が紹介されています。

個人事業では給料を経費にできない

個人事業と法人では、税金のかかり方が異なります。

個人事業では、売上から経費を引いた残りの利益に税率がかけられます。

法人では、売上から経費を引いて、さらに給料などの経費を払った残りに税金がかけられます。

個人事業では、給料を払うという考え方がないので、残った利益の全額に税金がかかってしまいます。

これが、個人事業の税金が多くなってしまう理由です。

個人ではそれほど多くの支出がないのであれば、あえて社長個人の給料を少なくしておき、残りは会社の利益とすることで、低い法人税率のみがかかることになります。社長個人に給料を払うよりも税率を抑えられるというわけです。

そして、会社に残ったお金は、先ほどの出張旅費などを使って、社長個人の財布に移していくのです。

この辺りは「ひとり社長」だからこそできる節税策といえます。

書籍の注目ポイント

他にも具体的な節税アイデアが解説されていますが、最後に本の中で特に勉強になるポイントをまとめておきます。

個人事業主の人やひとり社長の参考になるでしょう。

  • なぜ事業を始めていないのに法人を作るのか
  • 手元にお金を残す役員報酬の払い方
  • 稼ぐ(攻め)だけでなく、節税(守り)も重要
  • 税務調査の裏話
  • 法人には私生活という概念が存在しない
  • 税金の支払いスケジュールは恐ろしい
  • 法人と個人では利益の考え方が違う
  • 株主と経営者
  • 法人化ステップ
  • ボーナスを活用して社会保険を減らす

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