投資をして資産を築くためには元手となる貯金が必要になる。しかし、若い時には収入が低く、大金を投資に回せるほどの余裕がある人は多くはないだろう。
収入を増やす最も効果的な方法は、自分が持っている知識やスキルをうまく活用することだ。時間を使って時給制の仕事をすることもできる。
これらは、人的資本と呼ばれており、金融資本となる貨幣に変換することが可能だ。
「幸福の資本論」では、さらに社会資本が加えられており、3つの資本を活用して幸福になるための立ち回り方が指南されている。
人的資本と金融資本は貨幣に密接に関わっているが、社会資本は人間関係をベースにした貨幣とは切り離された幸福の礎となる。
収入を増やす方法に話を戻すが、人的資本を金融資本に変えるための方法は大きく分けて5つある。
- 時給制のサービスを提供する
- 成果報酬型のサービスを提供する
- 人に教える
- 商品を販売する
- 会社で昇進する
それぞれにメリット・デメリットがあるため、どれが自分に会っているのか考えてみると良いだろう。
目次
時給制のサービスを提供する
自分の時間を使って、仕事をすることは少ないかもしれないが確実に収入を増やすことができる。自分のスキルを高めることができれば、それに見合った時給の高い仕事に就くこともできるだろう。
ただし、時給制の仕事ではスケールメリットが得られないということを理解しておかなければならない。どれだけ優れたパフォーマンスを発揮したとしても、時間単価分の収入しか得られないし、病気で働けなくなったら収入はゼロになってしまう。
長時間働くことでしか収入を増やせないため、将来的には金融資本を積み上げることを考えた方が良い。
メリット:簡単に始められる。初期コストがかからない。働いた時間は確実に収入を得られる。
デメリット:スケールメリットが得られない。時間的な制約により、収入に限界がある。
成果報酬型のサービスを提供する
時間ではなく成果に応じて報酬を受け取ることで、時給制よりも高い収入を得られる可能性がある。高いスキルを持つデザイナーや営業マンが独立してフリーランスになるのが典型例だ。
組織の中で働くとどれだけ働いても固定給になるが、独立してフリーになれば働けば働くほど収入を増やすことができる。ただしこれは、自分で営業しクライアントを獲得できる場合に限る。顧客を獲得できなければ、当然ながら報酬は得られない。
しかしながら、ここでも自分の成果物のみの報酬となるためスケールメリットはない。人を雇ってスケールすることも可能だが、コストが膨れ上がってしまうため難易度は高い。
メリット:時給制よりも高い報酬が期待できる。ブランドを構築できる。自由な時間で働ける。
デメリット:スキルや経験を得るのに時間がかかる。スケールメリットが少ない。業務量が増える。
人に教える
自分が持つ知識やスキルを人に教えることで、安定収入を得ることができる。需要があるものであれば、必ずそれを教わりたいという人が一定数存在する。
オンラインプラットフォームを利用すれば、簡単に人に教えるためのコンテンツを準備することも可能だ。
YouTubeに動画を投稿すれば、コンテンツを蓄積してブランドを構築することもできる。投稿した動画は、視聴した人が増えれば増えるほど収入アップの可能性があるため、スケールメリットが大きい。
メリット:スケールメリットがある。
デメリット:ライバルが多くなる。集客が難しい。
商品を販売する
商品を販売することにもスケールメリットがある。働くのは商品であってあなたではない。
インターネット通販であれば、店舗を構える必要がないため初期費用も抑えられる。特にデジタルコンテンツを販売すれば、商品の原価もかからないため、スケールメリットも利益率も大きい。
商品を作るのは簡単ではないが、一度作ってしまえば同じものを何度も作って長期的な収入になるだろう。
商品を作る時の秘訣は、需要を満たすことだ。世の中の人は何に困っているのかを研究し、アイデアを形にすることができれば需要を満たす商品となる。世の中にないオリジナル商品を生み出せるためやりがいも得られるだろう。
メリット:スケールメリットがある。
デメリット:先行投資とマーケティングが必要。
会社で昇進する
会社で働くのは起業や独立よりも軽視されがちだが、収入を増やす有力な方法になる。
アメリカで富裕層になるのは従来型の教育とキャリアパスを辿った人が多く、遺産を相続したり家業を引き継いだりせずに一代で富を築く場合には平均30年以上もかかっている。
著者は、特に若い人や経験が浅い人には、従来型のキャリアを歩むことを強く推奨されている。
仕事で得られるのは給料だけではない。多くの人と関わりながら技能を磨くことは、将来的なキャリア形成に極めて大きな価値になる。
起業や独立をする人でもまずは会社勤めをするのが一般的だ。会社で得た知識や経験は独立する上では欠かせない要素なのだ。
メリット:組織の中での働き方を身につけられる。技能を磨き、経験を積める。安定した収入が得られる。
デメリット:自分の思うように時間や行動をコントロールできない。
節約よりも収入アップ
貯金は、収入を増やしても、支出を減らしても増やすことができる。この2つのどちらがより効果的なのだろうか。
米国消費者支出調査のデートによると、所得レベルによっては節約が貯金を増やすのに現実的な選択肢ではないことが明らかになっている。
具体的なデータは省略するが「収入が増えても、支出が同じように増えるわけではない」ということがポイントだ。
人は多くても1日3食ほどしか食べないし、未知の体験にお金を使うのにも限界が来る。
著者は「同じものに対する支出が増えるほど、それによって得られるメリットが減っていく」ことを胃袋の法則と呼んでいる。
空腹の時に食べたピザの一口目は最高に美味しく感じられるが、二口目からはそこまで大きな感動は得られない。このように徐々に満足度が下がっていく。
収入が10倍になったとしても、収入が同じように10倍に増えるわけではない。高所得世帯の方が貯金しやすいのはこのためだ。
節約することも重要だが、裕福になった人が本当に節約だけで裕福になったのだろうか。当然ながらはそんなことはない。
かなりの高収入を得ていたり、異常なほどに節約して資産を築き上げた人がほとんどだ。
収入を増やして貯金し、収益を生み出す資産に投資することがお金持ちになる王道のルートになる。
知識よりも行動
今はインターネットの発達によって無限の情報に瞬時にアクセスすることができる。それにともない、人間の能力や行動力は格段にアップしているのだろうか。私はそうは思えない。
無限の英語の学習教材を誰でもほぼ無料で手に入れることができるようになった。
一流のトップアスリートがYouTubeに動画を投稿し、誰でも最先端の知見に触れることができるようになった。
これらの知識を得たとしても、使いこなせなければ意味がない。
何を知っているかもよりも、何をしているかの方がはるかに重要な時代だ。
どれだけ知識を蓄えても収入アップには結びつかない。行動することでしか結果は変わらないのだ。