個人事業主の中には経理業務を税理士に依頼せずに自分でやっているという人も多いでしょう。
自分で経理業務をすることで、税理士に依頼する顧問費用を節約できるのみならず、売上が把握できたり、税金に関する知識が身につくなどのメリットがあります。
もちろん税理士に依頼することで負担を軽減し完璧な決算書が作れるため、無理して自分でやる必要もないと思います。
簿記の知識も少ないままに経理業務を自分でやろうとすると、わからないことだらけで、事業に専念できず毎日帳簿付けの調べごとをしているなんてことになりかねません。
ですが現実的には、売上が少ないうちから税理士に依頼するのは金銭的にも厳しいという個人事業主はたくさんいます。
そんな事業主は少しずつ経理の知識をつけて事業に専念できるようにしておきましょう。
経理初心者が理解しづらい記帳のひとつに「クレジットカード払いの記帳」があります。
銀行振込や現金払いであればビギナーでも割とすぐに理解できますが、クレカ払いは少し厄介な記帳が必要になります。
今回は、クレカ払いに関する記帳方法と会計ソフトの罠について紹介します。
目次
クレ払いをすると2回記帳しなければならない
事業に必要な備品購入や仕入を行った際にクレジットカードを使うと、カードを使って決済した時と、銀行から引き落とされた時の2回に分けて記帳しなければなりません。
1回の支払いに対して2回も記帳しなければならないのは正直面倒ですが、正確な売上を把握するためには仕方ありません。
実際の使用例を用いて解説します。
2月1日:1500円の書籍を購入
3月25日:利用分の1500円が銀行口座から引き落とされる
このような場合には下記のような記帳を行います。
2月1日
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
新聞図書費 | 1,500円 | 未払金 | 1,500円 |
販売目的の商品以外の経費を事業用のクレジットカードで支払いをした場合は、勘定科目として「未払金」が用いられます。
なお、販売を目的とした商品は、クレジットカードによる支払いであっても「買掛金」の勘定科目を用いるので覚えておきまょう。
みんなのマネ活
3月25日
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
未払金 | 1500円 | 普通預金 | 1500円 |
上記のように「購入した時」と「口座から引き落とされた時」の2回記帳しなければなりません。
ここでひとつの疑問が浮かびます。
「多くの会計ソフトにはクレジットカード自動連携機能が搭載されているけど、ソフトに反映されるのは引き落とされた時だけだよね?」
つまり、クレジットカードの利用明細が取り込まれる月に1回のタイミングでしか記帳できないですよね?という話です。
もちろん、クレカ払いをしたタイミングで手動で記帳すれば済む話ですが、自動連携を売りにしている会計ソフトで手動入力するのは面倒すぎます。
それにクレカ払いの中には、レンタルサーバー代やAmazonプライム会員費用など、いつ支払っているかよく分からないけど必ず発生するサブスクリプションの費用も含まれています。
いつ使っているか分からない月額費用を手動で記帳するのはかなりの手間がかかりますので、何とかして自動化できないかと考える人は多いでしょう。
クレカ払いは例外的に1回のみの記帳ができる
「クレカ払いの記帳は、利用した時と引き落とされた時の2回に分けて記帳する」となっていますが、例外的に「引き落とし時」だけで記帳をすることが認められています。
本来は「取引時」に経費計上すべき金額を、まとめて「引き落とし時」に計上するわけです。
会計期間(個人事業主の場合は1~12月)の間は現金主義で仕分けを行い、会計期間をまたぐ取引だけ発生主義で仕分けをする「期中現金主義、期末発生主義」というやり方があります。
わざわざ2回に分けて記帳しなくても、口座から引き落とされた時だけ記帳すれば良かったのです。
二度手間から解放されてとてもハッピー。
会計ソフトのクレカ連携は月に1回しか明細が取り込まれない上に、実際に決済してから1ヶ月ほどかかるので2回も記帳するのは現実的ではありませんでした。
ちなみに2回に分けて記帳する時には、freeeの場合引き落とし時に「口座振替・カード引き落とし」タブを選択します。(freeeの口座としてクレジットカードと引き落とし口座を登録している場合)
これによりクレジットカード口座のマイナス金額がゼロに近づいていきます。