「話したいなら話す練習をしないといけないに違いない」
「英語を聞き続けたら勝手に英語を話せるようになる?そんなわけないだろ」
かつての私もこんな考えを持っていましたが、英語のインプット方法を変えることで少しずつ考え方が変わりました。
これまで闇雲に英語を聞いていた時間が全て無駄だったと気付かされるような感覚になり、自分の通ってきた道のりはかなり遠回りだったと反省しました。
ここでの「英語を話す」というのは、シャドーイングのようにただ聞いて真似して発音できるということではなく、自分の頭で創造した文章を話すと定義しています。ただし、英語を発音するためには、筋肉を鍛えなければならないため、もちろん実際に発音する練習は欠かせません。
しかし、真似して話せるだけでは「英語を話せる」というには程遠いでしょう。
今回は、英語を話せるようになるためのインプット方法を具体的に紹介しています。話せるようになるためのトレーニングと、そのトレーニングを実践する理由について解説します。
自分で考えて話すというゴールを目指す人にとって、参考になる気づきが発見できれば幸いです。
目次
理解可能なインプット
具体的なインプット方法を解説する前に、まずは「理解可能なインプット」について説明しなければなりません。
「理解可能なインプット」については下記の動画で述べられています。
言語を習得する唯一の方法は理解可能なインプット(comprehensible input)を受けることであり、アウトプットだけでは効果がない。
- 言語を習得するためには、理解できるメッセージを聞くことが重要。
- 言語習得には個人差があるが、理解可能な情報を受けることは共通している。
- 会話や発話にはインプットが重要であり、自己表現だけでは習得につながらない。
- 学習においては、モチベーション、自尊心、不安の要素が重要である。
- 語学習得には言語習得装置(language acquisition device)が働き、インプットがブロックされる場合もある。
英語を習得するためには「理解可能なインプット」が欠かせないと説明されています。
では「理解できないものを理解できるまで聞けば習得できるのではないか」と思ったのが、今回紹介するインプット方法を始めたきっかけです。
いきなり英語の本を読んだり、英語のスピーチを聞いたとしても、理解できない単語や文法が弾丸のように飛んできて認識する間も無く過ぎ去ってしまいます。
ただの聞き流しは「理解可能なインプット」とは言えないでしょう。
理解できるようになるためには、理解できる入力パターンを増やし蓄積していかなければならないのです。
英語を訳さなくても理解できるようになる過程
それでは「理解可能なインプット」がどのようなものか例を挙げます。
This is a pen.
日本人はみなこの文章から英語の教育が始まります。
この文章が理解できないという人はいないでしょう。私たちが何度も聞いた単語、文法で構成された簡単な文章だからです。
「This is a pen.」と聞いて、わざわざ日本語に翻訳しなくても理解できます。これが理解可能なインプットです。
英語を話せるようになるためにやるべきことは、この理解可能な入力パターンをひたすら積み上げていくことです。
Even though she said she'd come after grabbing coffee near that new bookstore, she's not here yet.
このように文章が長くなり、少しばかり複雑になったとしてもいづれ「This is a pen.」と同じように理解可能になるのです。
嘘だと思いますか?
これが嘘ではないことはすでに多くの人が知っており、さらに身をもって体験しています。
なぜなら「This is a pen.」が理解できるようになるのと理屈は全く同じだからです。
「文章が長くなると聞き取れなくなる?」
そんなことはありません。
This is a pen. I worked 30 hours to buy this pen.
少し長くなりましたが、これでも多くの人が聞いてすぐに理解できるでしょう。
理解できないのは文章が長いからではありません。「理解不可能なパターン化されていないインプット」の時に聞き取れなくなるのです。
それでは、理解できるようにするにはどれすれば良いのか。
当然ながら「理解できる文法」「理解できる単語」の組み合わせでなければなりません。
文章が長くなると、聞き取れた単語だけで理解しようとするため、全体を理解することができなくなります。
このインプット方法を実践するのが、英語学習チャンネル「デジタル英単語帳」の役割です。
英語学習チャンネル「デジタル英単語帳」の役割
「デジタル英単語帳」は理解可能なインプットからヒントを得て開設し、紆余曲折ありながらも現在の動画スタイルに落ち着いています。
原則は1動画1単語になるように動画を構成しています。これはチャンネル内検索をしやすくするためと目的を持ってリスニングをするためという2つの理由があります。
1動画1単語にすることで「この単語の用法を理解するぞ!」という目的が明確になります。
目的なくインプットをするとどうなるのか。
聞いた音は右から左に流れてしまい、理解することができません。
理解できるインプットにするには、目的を持って集中しなければならないと考えたため、なるべくテーマを絞った動画構成にしています。
単語の意味だけでなく、文章の中での役割を理解する
これまで単語を学ぶときに、どのような方法で勉強してきましたか?
多くの方が英単語と日本語の意味を1体1で結びつけてペアで覚えようとしてきたのではないでしょうか。
私はこの暗記方法では、実際のリスニングで役に立たないと思ったので、全く異なるアプローチで単語を覚えています。
文章にすることで、ぶつ切れの意味だけでなく、文章をパターン化して認識します。
何度も文章として単語を聞いていると、どのように単語が使われているのかを自然と理解できるようになり、日本語に訳すことなく全体を理解できるようになるのです。
これはよく英語脳と言われています。英語を英語のまま理解し、英語で考えて英語を話すということです。
対面でのコミュニケーションでは、全員が英語脳を無意識に働かせています。いちいち日本語に訳していると会話が成立しません。
何度もパターン化された、かつ理解可能なインプットを入力し続けることで英語脳を育成します。
アウトプット前提で聞く
英語をインプットするときに意識していただきたいのが、アウトプット前提で聞くということです。
アウトプットする前提でリスニングをすると、集中しなければならないため、理解しようとする準備ができます。
例えば、動画を1本見るときに「視聴が終わったら自分で文章を1つ考えて作ってみよう!」と意識するようにします。
この意識を持つだけでインプットするときのマインド、姿勢が変わり、理解力に雲泥の差が生まれます。
3分の動画を見終わったら、文章を参考にして文章を1つ紙に書いてみましょう。頭の中で考えるだけでも効果はあります。
人間は頭の中にあるものしかアウトプットできません。アウトプット作業により、インプットしたものが身についているのか確認することができます。
アウトプットするときには、難解で長ったらしい文章にする必要はありません。
「単語を1つ変えてみる」
「肯定から否定の文章に変えてみる」
たったこれだけでもアウトプットのトレーニングになります。
大事なことは自分の頭で考えてアウトプットすることです。
上記の動画を参考にして実践してみると、動画を視聴した後に
It takes approximately 10 minutes to boil an egg.
このように「approximately」という単語を使って文章を作ってみるのです。
このようにしてアウトプットを繰り返すことで、インプットを強化していくことができます。
アウトプット先としてぜひ各動画のコメント欄をご活用ください。他の視聴者にとって役立つものとなるでしょう。
アウトプットするために「話す環境」は必要か
ここまで「インプットしたものだけがアウトプット」できると説明してきました。
「本当にインプットだけで良いのか?」
「話せるようになるためには、話す練習が必要ではないのか?」
と考えている人は多いでしょう。
ここからは「インプットだけで話せるようになるのか」というテーマを扱っていきます。
まず「話せる」ということをもう一度定義しておきます。「話せる」ということは「自分の頭で考えて話せる」と定義します。シャドーイングのように真似して発音できることは「話せる」とは定義しません。
アウトプットする環境の必要性
話す機会を強制的に用意しておくことは、話せるようになることにどのくらいの影響をもたらすのでしょうか。
「話す機会」は、仕事で英語を使うことやオンライン英会話で外国人講師と話すことを仮定しましょう。
このような環境に身を置くことで英語を話せるようになるはずだと考える人は多いでしょう。
ですが、話せるようになるために絶対に必要というわけではないというのが私の考えです。
「話す環境」は、英語習得のための1つの要素にすぎません。
「仕事で英語を使うからインプット学習に集中できるようになる」ということです。
インプット >> アウトプット
アウトプットする環境が無くても話せるようになった人がたくさんいるのは、YouTubeで知ることができます。
もちろん「アウトプット」をないがしろにしていいというわけではありません。
「アウトプットが重要だ」という説でも同様にインプットの重要性を説いています。
総じて言えることは、インプットの量・質がアウトプットの量・質を決めるということです。
量は質に転化します。そもそものインプット量が少なければ質を上げようがないのです。
具体的なリスニング方法
ここまで何度もインプットが重要だと説明してきましたが、具体的にどのようなリスニングをすればアウトプットに効果をもたらすのでしょうか。
「寝ながらリスニング」というインプット方法もあるようですが、それだけでいいなら全日本人が英語を身につけているでしょう。ですが現実は違います。
ただ「聞き流しているだけ」では効果は得られないでしょう。
アウトプットに直結するインプットをする際にはしっかりとした戦略を立てておかなければなりません。
ここからは具体的なインプット方法を解説します。
- 無意識に聞き流すのではなく意識して聞く
- 理解しやすい文章を聞く
- 興味のあるテーマを選ぶ
無意識に聞き流すのではなく意識して聞く
前述の「アウトプット前提で聞く」につながっていますが、意識してインプットすることが何よりも重要です。
例えば下記の動画を例に挙げてインプットを実践してみます。
この動画では「benevolent」という単語を使った文章が連続して発音されます。
何回も聞いていると、単語がどのように発音されるのか、文章の中でどのような意味を持つのか、どのような語順で使われるのかが理解できるようになってきます。
このように1つの動画で1つの単語を学ぶことで、「benevolent」という単語を身につける目的を持つことができます。
何度も文章を意識して聴けば、イヤでも脳に残ります。
さらにインプットが終わったら自分で文章を考えてアウトプットしてみると良いでしょう。
理解しやすい文章を聞く
インプットする文章の難易度は重要です。
いきなり難解な医学に関するリスニングをしてもすぐに挫折してしまうでしょう。理解しやすいレベル、スピードでインプットしましょう。
さらに理解しやすい文法、理解しやすい単語で構成される文章が理想です。
文法と単語のどちらかが欠けてしまうと、すぐに理解が追いつかなくなります。ここにスピードが加わると頭がパンクしてしまいます。
インプットする英語のレベルは自分の理解力に合わせて上げていきましょう。
興味のあるテーマでリスニング
英語のインプットをするときに大切なのは、自分の興味のあるテーマを選ぶということです。
興味のないテーマを選んでしまうとモチベーションも上がりませんし、馴染みの無い単語が数多く登場してしまうでしょう。
私は進撃の巨人のアニメが好きなのですが、このアニメを視聴する外国人の反応がYouTubeにアップされています。
日本のアニメが海外からどのような反応があるのか気になりますし、英語の勉強にもなるため一石二鳥です。
興味のあるテーマ × 英語学習
この掛け合わせにより英語習得を加速させることができます。
英語で学ぶ
私たちの目的は「英語を勉強する」ことではありません。身につけた英語で何をするかが本当の目的です。
英語は目的を達成するための手段であるという位置付けを忘れてはいけません。
英語学習を目的にしてしまうと、ノウハウコレクターと同じになってしまいます。
私は「身につけた英語で外貨を稼ぐ」ことを目的にしています。
「外貨を稼ぐために英語が必要だった」だけにすぎません。
あなたは何を目的として英語を勉強していますか。目的が定まっていないのであれば、一度立ち止まって考えてみると良いでしょう。