人間は歳を重ねるにつれて身体は衰えていき、若い世代よりも仕事のパフォーマンスが下がってしまうのは避けられません。
だからこそ、歳をとってからでも生活を維持していくために、働かなくても収入を得られる「金融資本」を積み上げていかなければならないのです。
そして、金融資本に資産を振り分けるタイミングが早ければ早いほど複利のメリットも大きくなります。
書籍の中では、今すぐに「人的資本」を「金融資本」に変換するべきだと解説されています。
ですが、行動に移せない人も多いでしょう。
挙げられる理由のひとつには「実感が持てない」というものがあります。
人生が70歳、80歳、90歳まで続くということの恐ろしさを理解できている人は少ないでしょう。
我々は人類の寿命が急激に伸びる初期の段階を生きています。これまでに日本人の平均寿命が80歳を超える瞬間は歴史上存在しないのです。
1955年の平均寿命は男女ともに65歳くらいでした。わずか70年ほどで20年近く寿命が伸びているのです。
この20年の差は今後重く金銭的な負担としてのしかかってくることになります。
身体にガタがきて腰が痛くなったり、体調を壊して通院しなければならなくなるピンチに直面してようやく金融資本の重要さに気がつくのです。
人的資本のみで資産を蓄えてきて、金融資本を持っていないとどうなるのか。長生きがリスクになります。
金融資本は複利によって時間が経つほど資産が増えていきます。
実際は老後に資産を切り崩して使うフェーズに入るため、無限に増えるということではありませんが。
長生きすることのリスクを想定しておき金融資本を増やしていくことが重要になるのです。
歳をとるにつれて資産が減少していくのと、歳を取ればとるほど資産が増えていくのとでは、精神的な安定に大きな差が生まれるでしょう。
最近投資がブームになっているブームのひとつには、政府が老後の面倒を見きれなくなっているということがあります。
具体的には、老後に受け取れる年金額が減るか、受給年齢が後ろ倒しになるということです。そしてこの流れは今後さらに加速することになります。人口動態を考えると避けられない事実です。
「投資」は日本人にとって、やった方がいいものではなく必須のスキルとなっているのです。
若い時には労働という人的資本を最大限に活用しながら、少しずつ金融資本も積み上げていく。歳をとって働けなくなったら、積み上げた金融資本を若い世代へと投資して、その若い世代の労働力で社会が回ります。
投資によって社会がうまく回る仕組みが出来上がっているのです。
我々にできることは、この仕組みに乗っかって持てる資本をうまく配分することです。
「1年間働くと将来の収入は1年分減る」